コラム
施工管理※1を効率化するには、仕事を速くこなす前に、現場監督が抱えている仕事を分ける必要があります。くり返す確認や連絡は予定表と AI に任せ、監督にしかできない仕事へ時間を使える形をつくるためです。
ここでいう「定期の仕事」とは、毎日・毎週・毎月など、決まった周期でくり返す確認や連絡のことです。
結論:くり返す仕事は予定表と AI に任せ、監督にしかできない仕事に時間を使う
現場監督の仕事を減らす第一歩は、定期の仕事を頭の中から外に出すことです。毎朝、今週、今月とくり返す仕事を1枚の予定表にまとめ、AIからその日にやることを知らせてもらいます。
この形なら、すべてを覚えておく必要がありません。確認や連絡の抜けにも気づきやすくなり、頭を工程の判断や現場ごとの対応など、考える仕事に使えます。
ただし、今ある仕事をそのまま予定表へ移すだけでは足りません。先に「監督がやらない仕事」を洗い出し、監督が担う仕事と、ほかの人や仕組みに任せる仕事を分けます。
工務時代の1日:早朝から深夜まで、確認と発注に追われていた
私も工務として働いていたころは、朝7時台に現場へ行き、工程を確認し、職人さんへ指示を出しながら現場を回っていました。現場では予定どおりに確認が進むとは限りません。
話の好きな職人さんと話しているうちに時間が押し、確認したかったことを忘れることもしばしばありました。足りない部材などを現場で聞き、会社へ戻ってから発注するため、仕事は次々と後ろへずれていきます。
なんだかんだで深夜までかかる日も多く、睡眠時間が取れないまま次の日を迎えることもありました。集中力が落ちれば、確認することを頭に置き続ける負担も重くなります。
当時は、現場監督がやる仕事と、予定表や周りの人に任せられる仕事を分けられていませんでした。まず仕事を分け、定期の仕事を覚え続けなくてよい状態をつくるだけでも、時間の使い方は変えられます。
sawan のやり方:くり返す仕事21件を1枚の予定表にして、AI が毎朝声をかける
sawan では、毎日・毎週・毎月くり返す仕事21件を1枚の予定表にまとめています。AIは毎朝、その日に声をかけるもの、つまり、その日にやる定期の仕事を並べます。
| 周期 | 仕事の例(sawan) | AI がすること |
|---|---|---|
| 毎日 | 届いた依頼の仕分け、返事をしていない連絡の確認 | その日の仕事を朝に並べる |
| 毎週 | セキュリティの確認、集めた情報を提案にまとめる | その曜日に、やる仕事を知らせる |
| 毎月 | クライアントの運用報告書の作成、翌月の記事の計画 | 予定の日に、やる仕事を知らせる |
このやり方にしてから、覚えておかなくても、その日にやることが朝に分かるようになりました。自分では抜けていた定期の仕事に、AIのほうから気づかせてもらったこともあります。
頭の中で予定を持ち続ける必要がなくなり、その分をほかの考える仕事に使えるようになりました。私にとっていちばんの変化は、自分にしかできない仕事へ時間を使えるようになったことです。
会議後の仕事を残さない方法は、前回の「議事録と宿題」で紹介しています。今回は、会議に限らず、決まった周期で戻ってくる仕事を予定表へ移します。
まず「監督がやらない仕事」を洗い出す
予定表を作る前に、現場監督が抱えている仕事を3つに分けます。出発点は「これは監督にしかできない仕事か」と問い直すことです。
| 分け方 | 見分ける問い | 次の対応 |
|---|---|---|
| ① 監督にしかできない仕事 | 監督の経験や判断がないと進まないか | 監督が担い、判断や対応に時間を使う |
| ② 人がやる必要はあるが、監督でなくてよい仕事 | 人の手は要るが、ほかの人でも同じようにできるか | 担当を決め、社内のほかの人に任せる |
| ③ 人がやらなくても回る仕事 | やめても困らないか、予定表や AI が代わりに知らせられるか | やめる、または予定表や AI に任せる |
私の見立てでは、監督がやらなければならない仕事が最初に10あったとすれば、分け直すことで1〜2くらいに減るはずです。これは実績ではなく、仕事を分けた場合の試算です。
同じ見立てで考えると、これまで5棟しか見られなかった人が20棟を見られるようになり、現場監督も5人から1人に減らせる可能性があります。まず人数を減らすのではなく、監督にしかできない仕事が何かを決め、ほかの仕事が回る仕組みを先につくります。
あなたの会社に置き換えるなら:現場の定期の仕事を予定表にする
自社で始めるなら、現場監督の頭の中にある予定を、毎朝・毎週・毎月に分けて書き出します。最初から整った予定表を作ろうとせず、今くり返している確認や連絡を見える形にするところから始めます。
予定表では、仕事ごとに周期と担当が分かるようにします。朝に見る仕事と、週・月単位で確認する仕事を1枚に置き、その日にやる仕事を取り出せる形にします。
例えば、工務の仕事では次のように整理できます。
| 周期 | 予定表に入れる仕事の例 |
|---|---|
| 毎朝 | その日に回る現場/現場ごとに確かめること |
| 毎週 | 工程の確認/協力業者への翌週の日程の連絡/部材の発注の締め |
| 毎月 | 安全の点検/お客様への進み具合の報告/書類の締め |
作り方は、次の5段階です。
1. くり返す仕事を書き出す
毎朝、毎週、毎月の決まった周期で行っている仕事を書き出します。例えば、現場を回る前に確認すること、協力業者へ連絡すること、部材を発注する締めなどです。
この段階では、担当者や方法を決めなくてもかまいません。まずは現場監督が「覚えておかなければ」と感じている定期の仕事を、頭の外へ出します。
2. 仕事を3つに分ける
書き出した仕事を「①監督にしかできない」「②人がやる必要はあるが、監督でなくてよい」「③人がやらなくても回る」に分けます。迷った仕事は、誰が判断する必要があるか、誰が実行する必要があるかを分けて考えます。
例えば、監督が判断する仕事でも、その前の確認や連絡まで監督が抱える必要があるとは限りません。工務店ごとに役割は異なるため、自社で誰が担えるかを一つずつ確かめます。
3. 周期と担当を決める
残った定期の仕事に、毎朝・毎週・毎月の周期と担当を付けます。「誰かがやる」ではなく、担当する人まで決めることで、監督が手放した仕事の行き先が見えるようになります。
例えば、毎週行う工程の確認、翌週の日程の連絡、部材の発注の締めを同じ予定表に置きます。毎月の安全の点検や、お客様への進み具合の報告、書類の締めも同様です。
4. 毎朝 AI に声をかけさせる
予定表ができたら、AIから毎朝、その日にやる定期の仕事を並べてもらいます。現場監督は朝の時点で、その日に回る現場と、現場ごとに確かめることを確認できます。
目的は、AIに現場の判断を任せることではありません。決まった周期の仕事を思い出す役割を任せ、監督が判断に使う時間と頭を残すことです。
5. 月に1回見直す
予定表は、月に1回見直します。監督が今も抱えている定期の仕事はないか、担当が決まっていない仕事はないかを確認し、必要に応じて周期と担当を直します。
一度で完成させるのではなく、実際に回しながら分け方を整えます。現場監督に戻ってきた仕事があれば、監督にしかできない仕事なのかをもう一度問い直します。
支援先の例:監督の役割を分け直した工務店
支援先の工務店には、現場監督を置かず、大工さんに権限を渡して現場監督を兼ねてもらっている会社があります。監督という役職だけで仕事をまとめず、現場で担える人へ役割と権限を移した例です。
別の会社では、現場を遠隔で確認できる仕組みをつくり、現場監督をなくしています。どちらも仕組みや AI を使って実現しており、粗利率※2の改善につながっていると聞いています。
この2社のやり方を、そのままどの会社にも当てはめられるわけではありません。自社の仕事を分け、誰が担うか、どこを仕組みで支えるかを決めることが先です。
用語解説
- ※1 施工管理
- 工事が図面・工程・品質・安全・予算のとおりに進むように、現場を管理する仕事です。現場監督の主な仕事です。
- ※2 粗利率
- 売上から工事の原価を引いた利益(粗利)が、売上に占める割合です。
よくある質問
Q. 予定表には、どの仕事から入れればよいですか?
まずは、毎朝・毎週・毎月くり返している確認や連絡から書き出します。例えば、その日に回る現場の確認、翌週の日程の連絡、部材の発注の締めなどです。
Q. AI に現場の判断まで任せるのですか?
ここでAIに任せるのは、予定表をもとに、その日にやる定期の仕事を毎朝知らせる役割です。現場監督は、空いた頭と時間を監督にしかできない判断や対応へ使います。
Q. 監督以外に任せられる仕事は、どう分けますか?
「人がやる必要はあるが、監督でなくてよい仕事」と「人がやらなくても回る仕事」に分けます。前者には担当を決め、社内の人が支えられる仕組みをつくります。
Q. 予定表は一度作れば終わりですか?
月に1回見直します。監督へ戻ってきた仕事や担当が決まっていない仕事を確認し、周期と担当を整えていきます。
まとめ
現場監督は、仕組みで効率化できる職種です。まず「監督にしかできない仕事か」を見極め、「監督がやらないこと」の洗い出しから始めます。
そのうえで、監督以外の仕事を「人がやる必要はあるが、監督でなくてよい仕事」と「人がやらなくても回る仕事」に分けます。前者は担当を決め、社内の人がサポートする仕組みに移します。
毎日・毎週・毎月くり返す確認や連絡は1枚の予定表にまとめ、AIから毎朝知らせてもらいます。監督が覚え続ける仕事を減らし、監督にしかできない判断や対応へ時間を使える状態をつくってください。
次回は、「出す前のチェックを、作った人とは別の目にやらせる」を取り上げます。作成者とは違う視点で確認する仕組みを、どのように仕事へ組み込むかを紹介します。
この記事を書いた人

sawan株式会社 代表取締役
二級建築士
斉藤 伸義
住宅業界で10年、設計事務所・地域の工務店・ハウスメーカーの3社で、設計・営業・施工管理・広報を経験。累計200組以上のお客様の家づくりに携わる。
その後、建築業界専門の IT 会社で WEB ディレクターとして、約100社の工務店・ハウスメーカーのサイト制作と運用を担当。2023年に sawan を創業し、建設・住宅業界に特化した WEB マーケティングを支援している。いまは社内の仕事を AI で回す仕組みを自分で作りながら、その実際をこのコラムで発信している。
この記事の下書きは Claude Code(AI)が書き、内容の確認と最終の判断は代表が行っています。