再生住宅ビジネスは、中古住宅を購入し、リノベーションを施してその価値を高め、新たなオーナーに提供するビジネスモデルです。近年、特に古民家の再生などに対する若い世代からのニーズが高まっており多くの工務店がこのビジネスに参入しようと考えています。この流れの中で、再生住宅のプロフェッショナルであるということは、大きな集客力を持っていると考えられます。しかし、このビジネスには数々のメリットとデメリットが存在します。本記事では、再生住宅ビジネスの魅力や注意すべきポイント、集客効果を高めるポイントについて詳しく解説します。
中古住宅と再生住宅の違いとは?

中古住宅と再生住宅は、どちらも「既存の空き家を購入して手を加える」という点については共通していますが、購入後に施す工事の手法や考え方が異なります。
中古住宅は、通常は前の入居者が引っ越した状態のまま販売されます。築年数や建物の状況によっては。新しい入居者が元々の間取りや構造を活かしつつ、住宅設備の入替や、壁や床のクロスや床材などの内装リフォームする場合もあります。これらのリフォームは仲介業者が販売促進のため、売買前に行われることもあります。
一方、再生住宅は、購入した中古住宅にリノベーションを施して、新しい価値をプラスして再生させた住宅です。この再生住宅は、徹底的なリノベーションにより、耐震性や省エネ性などの住宅性能を向上させ、現代の生活に適した仕様にアップデートされます。
再生住宅は、リノベーションによって新築同様の快適な生活空間を提供できますが、購入者自身では計画や予算の予想が難しいほか、多数のプロセスが必要であるので、中古物件の紹介からリノベーション工事までワンストップで対応できる業者の需要が高まっています。
再生住宅ビジネスの概要

再生住宅ビジネスは、中古住宅を購入し、リノベーションによって付加価値を高め、改良された住環境を提供するビジネス形態です。大きく2つのケースに分けられます。
- 顧客の希望するエリアの物件探しからはじめて顧客のニーズに合わせたリノベーションを計画、施工するケース
- 自社でこのビジネスに適した物件を探して、リノベーション完了後に客付けするケース
再生住宅ビジネスの流れ
ここでは、再生住宅ビジネスに適した物件を探してリノベーション後に客付けする手法のプロセスについて説明します。
- 中古物件の選定と調査リノベーションの対象となる中古住宅を慎重に選定します。建物の構造やメンテナンス履歴、法的な制約などを詳細に調査し、リノベーションが可能かを検討します。人気の高い地域や顧客つけの容易な金額で販売できそうかなど物件探し時に多くのことが想定できれば、その後の検討がスムーズになります。
- デザインと計画選定した物件に基づいて、ターゲットとなるペルソナを設定して、顧客のニーズや現代のライフスタイルに適した設計を行い、リノベーションの方向性やスタイル、だいたいの販売金額を明確にします。
- 資金調達と予算設定物件の購入費用、リノベーション工事費、手数料、税金などを考慮して予算を設定します。利益が予測通りに出せるか、ペルソナにとって適した価格に売価設定可能かを検討します。
- リノベーション施工と同時に販売活動を開始する工事の進行中から販売活動をはじめ、完成後には、チラシやWEBを活用した情報発信や、完成見学会などで集客を促進しましょう。特に周辺住民への積極的な発信が重要です。物件周囲の住宅は、同程度の築年数であることが多いので、見学会には積極的に周辺住民を誘致しましょう。古い住宅の生まれ変わった姿を目にすることは、リフォームやリノベーションに深い興味を持つきっかけとなります。
再生住宅ビジネスのメリットとデメリット

再生住宅ビジネスへの取り組みをはじめる場合、メリット、デメリットについて理解を深める必要があります。
再生住宅ビジネスのメリット
- 環境に配慮した企業だとアピールできるリノベーションによる中古住宅再生は、新築よりも建材の使用量を削減し、環境に優しい予知組です。SDGsの考え方にマッチした環境への貢献度の高い企業であるとアピールできます。
- 既存の魅力を活かしたデザイン中古住宅の持つ独自の魅力を活かすと新築では手に入らない趣のある住宅を提供できます。新しい住まいに古き良き要素を取り入れたいと希望する顧客層も少なくありません。
- 新築と比べると早期に販売可能新築に比べ、中古物件をリノベーションする場合、基本的な構造はそのまま利用するため、大幅に迅速に販売を始められます。
- 地域コミュニティへの貢献再生住宅ビジネスは、地域社会に新しい住民を引き入れ、地域の活性化を促します。
再生住宅ビジネスのデメリット
- 物件の状態に関するリスクがある中古物件の状態や構造は、どんなに緻密に調査しても不確実性をゼロにすることができません。予期せぬ問題が発生した場合、コストや工期に影響を及ぼす可能性があります。
- 資金調達と予算管理の難しさ再生住宅ビジネスは、新築に比べて一度に大きな費用が発生するので、資金調達と資金繰りの調整が重要です。また、工事中に予期せぬ問題が発生した場合の工事費用の増加に伴って販売価格が上昇すると、売りづらくなり長期在庫化してしまう可能性もあります。
- 市場競争とマーケティングの必要性他の新築住宅や中古住宅との競争をなくすことはできません。良質な再生住宅であることや他にはないアピールポイントを設定するための効果的なマーケティングが求められます。
- 法的な課題と規制物件によっては、建築基準法や都市計画法などの法的な規制が制定前に建てられたものもあります。大規模なリノベーションを行う場合、現代の法規制に沿った修繕工事が必要となる場合があります。
集客のポイントと顧客の不安要素の排除

顧客が抱える不安要素を事前に理解しましょう。これらの対応策を十分にアピールすることで、再生住宅に対する不安要素を低減し、潜在的な顧客の信頼を勝ち取ることができます。
- 物件の状態や施工会社への信頼の獲得再生住宅のリノベーション内容を分かりやすく説明し、希望する顧客に対してはリノベーション前の写真を提供するなど十分な情報提供を行い、透明性を確保します。また、リノベーション時に使用した材料や工法を明らかにした上で、保証期間や品質に対する自信を伝え、購入者が安心できるよう努めましょう。
- 購入後のアフターサービスに不安がある購入後のアフターサービスについて明確に説明できるツールを準備しましょう。トラブル時の迅速な対応や保証制度の整備を強調し、信頼性を高めることが必要です。
まとめ

再生住宅ビジネスの概要やメリット、デメリット、顧客の不安要素を排除するための施策について解説しました。このビジネスは、リスクも同時に伴うので、適切な知識と計画が必要です。しかし、今後、さらに拡大が予想される市場のため、競合他社よりも早く集客戦略に着手できれば、大きな成功を収める可能性を持っています。成功の鍵は、顧客へ情報を正しく伝えて信頼を得ることです。再生住宅ビジネスへの進出を検討される際の判断材料の一つとしてください。