住宅購入のプロセスにおいて、家づくりを身近に感じ、建築への意欲が高まるイベント誘致は極めて重要な役割を持っています。新しい生活への期待を持って大きな決断をする上で、顧客にとって大きな意味を持つほか、顧客と企業とのコミュニケーションや相互のフィーリングを確認するための貴重な機会です。
近年に顧客ニーズから検討すると、イベントの効果を最大限高め、参加者をその後のアクションへ結びつけるためには、WEBイベントとリアルな見学会を組み合わせる必要があります。そこで今回は、住宅業界におけるイベントの重要性とこれにマッチする近年の顧客ニーズに対応したイベントや企画について紹介します。
住宅イベントの企画方法と成功の秘訣

コロナ禍以降WEBイベントが増加したため、顧客が好きな時間に参加できる利便性や、アーカイブを利用が可能になったことにより、イベント参加へのハードルは著しく下がりました。これにより、より多くの顧客が手軽に情報を得られ、潜在顧客の掘り起こしの手段としても有効です。
ただし、住宅は高額な商品であるため、リアルな現場を見学する経験は依然として不可欠です。実際の素材感や空間の広がりを感じることで、顧客はより具体的なイメージを持ち、購入の意欲が高められます。イベントの効果的な活用法について紹介します。
住宅業界におけるイベントの効果的な活用法
① 見学型イベント
住まいづくりは計画から完成引き渡しまで、多くの時間がかかり決定するべき事項も多くあります。そのため、商品の性能や特徴を直接体験できるイベントへ、必ず一度は参加を促しましょう。モデルハウスの見学や実寸大サイズの完成現場で実際の空間に包まれた状況であれば商品の特性を感じ、理解しやすくなります。
② 専門家による講演や相談会
顧客にとって、購入へ向けて一つずつステップを進めるごとに新たな疑問点や理解しづらい点が出てくるものです。特に、他社との比較について、自社の担当者に質問しづらい場合もあります。そんな時、第三者的な立場から専門的な情報やアドバイスが提供される講演や相談会は不安要素を解決するきっかけの一つです。参加者の不安や疑問を解消でき、自社への信頼感を高めることができます。
③ 特典やプレゼントの提供
イベント参加者向けの特典を準備するのも効果的です。例えば、参加者のみが閲覧できる特別なコンテンツの配信や、契約時に使える特典を準備することなどが考えられます。入場者プレゼントとは違った特別感を持たせた内容で考案しましょう。
④ SNSの活用
イベントの情報をSNSやWEBサイトで発信し、参加者から事前に質問や聞きたい内容を集めるなど、事前交流や情報の共有を図ると、参加者のイベントへの期待感を高めることができます。また、イベント終了後にも開催報告としてSNSを通じて参加者との感想や写真を共有することで、コミュニティ感を継続しやすくなります。
⑤ オンラインイベントとオフラインイベントの融合
イベントをオンラインとオフラインの同時開催する方法のほかに、SNSなどで経過を伝えて期待感を持たせたあとで、オフラインイベントへ誘致する方法もあります。イベント会場が遠い顧客や外出が難しい顧客にもアプローチできるほか、定員を設ける必要がありません。参加しやすい形態を提示できるので、やむなく参加を諦める顧客を減らし、広い間口を提供できます。
顧客参加型イベントの考案
顧客が積極的に参加できるイベントは、企業と顧客との双方にとって大きなメリットがあります。ただし、一定数の反応の見込める顧客を確保できなければ、計画倒れになる可能性もあるので開催を決める際には注意が必要です。
① 参加者の意見を取り入れた企画
顧客からの積極的な参加を促進するために、どんなイベントに対するニーズがあるのか企画を募る形式を採用しましょう。アンケートやワークショップ、他のイベントのアンケートを通じて、参加者自身の要望や期待に応えることができます。このような取り組みを通じて、次回のイベントに向けた有益なフィードバッグを収集し、参加者とのコミュニケーションを強化していきましょう。
② SNSを利用した企画
ハッシュタグをつけた投稿を募るなどのSNSを活用した参加型イベントは、他の参加者の興味関心を把握すると同時に、潜在顧客のアクションを促進するきっかけとなります。自社の担当者がコメントやメッセージを通じて参加者と直接コミュニケーションをとることで、顧客との関係構築を深め、ブランドの認知度向上させる効果もあります。
イベントマーケティングの重要なポイント

顧客ニーズに応えるイベントや企画について考察します。
企画力で集客をリードする方法
魅力的な企画で顧客の興味を引き付けて集客やランクアップにつなげるためには、以下のような戦略が考えられます。
① ターゲット顧客の把握
事前に参加希望者の属性を把握し、イベント内容を調整することが大切です。事前アンケートなどから参加者の求める情報や体験を想定して、満足度の高いイベントとなるよう柔軟に企画を変更する準備をしておきましょう。
② オリジナリティのあるコンセプト
競合他社にはない目新しいコンセプトを持ったイベントは、潜在顧客の注目を引きつけます。業界のトレンドや顧客の関心を考慮して、差別化できるような企画を考案しましょう。
③ イベント中のコミュニケーション
イベント中に参加者と積極的なコミュニケーションを図ると心理的バリアを減少させ、その後の打ち合わせがスムーズになったり、より深い印象を持たせたりといった効果があります。自然と会話しながら進行できるワークショップやグループでのセッションタイムを設けるなど、参加者との対話を促進できるような仕組みを組み込みましょう。
イベント誘致戦略
顧客のイベント参加を促すための戦略について紹介します。
① 効果的なプロモーション
ターゲット層にイベント情報を確実に届けるためにはSNSやWEB広告などを活用して、多くの潜在顧客の目に触れさせることが必要です。
② 特典の提供
参加を迷っている顧客に対しては、申込特典を提示すると、参加へのモチベーションを高められる可能性があります。
③ 他社との共同開催の大型イベントへ出展する
他の企業との協賛や提携を通じて、イベント参加者の分母を大幅に増やすことができます。より多くの顧客にアプローチできるほか、認知度アップの効果も期待できます。
イベントの目標を達成する方法
イベント開催にあたって明確な目標を設定し、終了後の効果測定や分析を行って次のイベントへ活かしていきましょう。
① 明確な目標を設定する
イベントを無事開催したことで満足することのないよう、具体的な数値や期待する成果を明確に共有しておきましょう。
② データ分析と改善
イベント終了後には、参加者のデータや反応を分析しましょう。何が効果的だったか、どの部分が改善の余地があるかを明確にし、次回のイベントに生かすための改善策として、参加者全体のニーズや満足度を理解しましょう。また、イベントに参加した顧客ごとの感想を利用してそれぞれに適した働きかけをするなど、その後の進捗状況を確認して、期待する効果をあげられる内容を把握するのも次のイベントの成功へつなげるために必要です。
③ 参加者のフィードバックを収集する
イベント後は、参加者からのフィードバックを収集しましょう。良い点や改善が必要な点を把握し、次回の企画に生かしていくことが重要です。
④ イベント後のフォローアップ
イベント後は参加者へのフォローを欠かさずに行います。イベント参加に対する感謝や、ステップを進めるための追加情報の提供など、参加者にとって価値を感じる情報をスピーティに提供すると自社への信頼感やファン度が高まります。
⑤ SNSやメールを使ったコミュニケーションの継続
イベント後はSNSやメールなどを活用して、顧客との関係をとぎれさせないよう継続的なコミュニケーションを図ります。新しい情報の提供や次のイベントへの誘致、参加者間の交流などを通じて、積極的にファンを育てていきましょう。
まとめ

イベントは、単発開催だけでなく、持続的かつ長期的な戦略を踏まえた展開が重要です。再来を促すことはもちろんのこと、将来的な長期顧客のファン化を進めることが成功の鍵となります。広告宣伝費との兼ね合いを見ながら、最低でも年に数回の頻度でイベントを実施して、顧客との接触頻度を増やすと、強固なファン層を構築する効果が期待できます。
ただし、イベントを開催することが目的化してしまうと本末転倒です。顧客からの反応やランクアップ度を適切に確認し、そのデータを次のイベントに生かす必要があります。イベントはあくまで手段であり、顧客との長期的な関係性を作り上げる一つです。継続的な対話を続けることが、ブランドの確立と顧客満足度の向上に繋がります。これらの取り組みを通じて、より強力なイベント戦略の参考としていただければ幸いです。