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工務店の AI 活用は社内ルールから|社長が先に決める「AI にやらせないこと」

AI は、処理や仕事を回す速さでは人を上回ることがあります。ただし、内容が正確か、提案が相手に刺さるかは、人が確かめなければなりません。

だからこそ、AI で効率を上げながら、人にしかできないことへ人が力を注げる分担が必要です。sawan では、AI、各部門の責任者、代表の役割を分けています。

結論:AI に任せる前に「やらせない仕事」を4つ決めた

sawan では、メールの送信、公開・投稿、支払い、契約の締結を AI に実行させていません。

AI は下書きまでを担い、人が内容を確かめて最後の判断をします。これは、全社で変えないルールのひとつです。

営業時代の失敗:慣れたころに、お客様の名前を取り違えた

住宅業界で営業をしていたころの話です。私は一人でお客様と面談できるようになり、仕事に慣れ始めていました。その時期に、似た要望や家族構成のお客様を同時に追いかけていました。

そして、お客様の名前を取り違えたまま、資金計画やプレゼンを出してしまったのです。その結果、お客様からの信用を失いました。

それからは、一人でお客様を追いかけられる状態でも、商談の前に上長のチェックを挟み、間違いがないかを二重に確かめる決まりにしました。仕事を覚え、一人で回せるようになったときほど、外へ出す前に別の人が確かめる必要があると学んだからです。

これは、AI に仕事を任せるときも同じです。sawan では、Claude Code(クロード・コード)という AI に、SEO 記事や SNS 投稿、運用報告書、請求書の下書き、提案書の骨子、毎朝の仕事の整理などを部門ごとに分けて任せています。

sawan の線の引き方:下書きは AI、最後のひと押しは人

線引きは、AI に仕事を任せないためのものではありません。AI が準備し、人が最後に確かめるための役割分担です。

AI がやること人が確かめること
メールの文面を下書きする宛先と内容を確かめ、送信する
記事や投稿を下書きする内容を確かめ、公開する
支払いの操作はしない内容を確かめ、人が支払う
契約の判断材料を整理する内容を確かめ、契約を締結する

この役割分担は、文章で決めるだけでは足りません。sawan では仕組みの側でも、AI がメールを送ったり、サイトの設定や追加機能を切り替えたりする操作ができないように止めています。

AI は仕事を速く回せます。しかし、書かれた内容が正しいか、提案として相手に届くかは、人が読み、判断しています。

やってみて分かったこと:私ひとりでは確かめきれない

最初は、AI が作ったものを私ひとりで確かめようとしました。しかし、毎月繰り返す仕事まで一つずつ見る形では、確認が回りませんでした。

そこで現在は、その仕事を専門にする部門長が内容を確かめ、最後に私が承認する二重のチェックにしています。

AI部門長(人)代表
下書きを作る内容の正確さと、相手に刺さるかを確かめる最後の承認をする

毎月の SEO 記事や SNS 投稿は、その月の企画を私が承認したあと、計画に載っているものに限り、AI の下書きと部門長のチェックを経て、予約投稿まで進めます。予約投稿とは、指定した日時に公開する準備のことです。

計画にないものや、チェックで直らなかったものは、私の判断に回します。すべてを同じ方法で止めるのではなく、先に承認する範囲と、個別に判断する範囲を分けました。

公開中の記事を書き直す場合は、記事ごとに承認してから反映し、元の本文も下書きに退避します。AI が書き直したときに表や画像、リンクが消えたことがあったため、反映前には見出し・表・画像・リンクの数を前後で比べ、意図せず消えたものを戻しています。

SEO 記事は、ライターの使い所を変えた

SEO 記事でも、AI を使うからライターが不要になるわけではありません。sawan が変えたのは、ライターを使うかどうかではなく、どこで力を借りるかです。

AI に任せられる部分は AI に任せ、ライターには「ライターにしかできないこと」を担ってもらいます。例えば、施工事例やお客様の声、その会社ならではの数字のように、その会社にしか出せない話を記事に入れることです。人と AI の役割を分けることで、どちらか一方だけでは作れない記事を目指しています。

では、ライターにしかできないこととは何か。SEO 記事における人と AI の分担については、次回の記事で詳しく紹介します。

数字で見ると

私の体感による目安ですが、運用報告書一社分にかかる時間は、AI を使う前の約3時間から、いまは約1時間になりました。減った時間は、企画や戦略を考えるために使えます。

また、2026年9月28日に仕組みを作り始めてから約3週間で、作業の記録は2,600件を超えました。履歴を残しながら、AI が進める範囲と人が確かめる範囲を調整しています。

あなたの会社に置き換えるなら:見積・連絡・発注・契約に線を引く

sawan の「送信・公開・支払い・契約」と同じ考え方は、工務店では、見積の提出、お客様への連絡、発注、契約の場面に使えるはずです。共通するのは、お客様や取引先、お金、約束に関わる内容が社外へ出ることです。

まず、社内の仕事を「お客様・取引先・お金・約束に関わり、外へ出るもの」と「社内で完結するもの」に分けます。外へ出る仕事は、AI が下書きを作り、その仕事の責任者が内容を確かめ、社長が最後に承認する流れを決めます。

責任者は、例えば見積や連絡なら積算や営業の責任者、発注なら工務や現場の責任者です。会社ごとに体制は異なるため、役職名だけでなく、実際に誰が何を確かめるのかまで決めます。

仕事AI の下書き責任者が確かめること社長が最後に承認すること
見積見積の下書きを作る条件や内容を確かめる提出してよいかを承認する
連絡お客様や取引先への文面を下書きする宛先と内容を確かめる送信してよいかを承認する
発注発注内容の下書きを作る内容と発注先を確かめる発注してよいかを承認する
契約契約の判断材料を整理する内容を確かめる締結してよいかを承認する

分け方が決まったら、見積、連絡文、工程表など、社内で完結する下書きから AI に任せます。この段階では、AI が作ったものは社外へ出ません。

次に、仕事の流れを「方向性を決める」「たたき台を作る」「人が磨く」に分けます。sawan が支援先の工務店で SEO 記事や SNS 投稿、運用報告書を作るときも、この順番です。

最初の企画や戦略は、AI との壁打ちで方向性を出します。壁打ちとは、AI に考えを投げかけ、返ってきた案を見ながら自分の考えを整理することです。

次に、決めた方向性をもとに AI がたたき台を作り、最後は人が内容を確かめて磨き込みます。見積なら、人が条件を決め、AI が下書きを作り、責任者が内容を確かめ、社長が提出を承認する流れです。

連絡では、伝える目的を人が決め、AI が文面を下書きします。その後、責任者が宛先と内容を確認し、社長が送信してよいかを判断します。

発注では、AI が発注内容を下書きしても、内容と発注先の確認を人の役割として残します。契約では、AI は判断材料の整理までとし、責任者の確認と社長の承認を経て、人が締結します。

ここでの「やらせない」は、AI を使わないという意味ではありません。回す部分は AI に任せながら、正確さや相手への伝わり方を人が確かめ、最後のひと押しを人が担うという線です。

私が営業時代に、商談の前に上長のチェックを挟んだのと考え方は変わりません。AI が加わっても、外へ出る前にその仕事を分かる人が確かめ、最後の判断をする人へ渡す流れを決めておきます。

まとめ

AI は、使い方や使う人の考え方しだいで、出てくる結果がまったく変わります。とくに経験があり、大きな志を持つ人ほど、AI を使いこなすことで、結果を出すまでの時間を縮め、精度を上げられます。

だから、社員に AI を使わせる前に、まずは経営者自身が使ってみることをおすすめします。自分で下書きを作らせて確かめると、どこまで任せ、どこから人が判断するのかを、自社の仕事に合わせて考えられます。

AI で効率を上げる目的は、人の仕事をなくすことではありません。AI、仕事を専門にする責任者、最後に承認する社長の分担をはっきりさせ、人にしかできないことへ人が力を注ぐためです。

次回は「ライターにしかできないこと」を取り上げます。SEO 記事で人と AI の役割をどう分けるのか、sawan の考え方を紹介します。

この記事を書いた人

sawan株式会社 代表取締役 斉藤伸義

sawan株式会社 代表取締役
二級建築士

斉藤 伸義

住宅業界で10年、設計事務所・地域の工務店・ハウスメーカーの3社で、設計・営業・施工管理・広報を経験。累計200組以上のお客様の家づくりに携わる。

その後、建築業界専門の IT 会社で WEB ディレクターとして、約100社の工務店・ハウスメーカーのサイト制作と運用を担当。2023年に sawan を創業し、建設・住宅業界に特化した WEB マーケティングを支援している。いまは社内の仕事を AI で回す仕組みを自分で作りながら、その実際をこのコラムで発信している。

この記事の下書きは Claude Code(AI)が書き、内容の確認と最終の判断は代表が行っています。

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