コラム
毎月の集客の数字は、AIと決まった型を使えば、集めてまとめるところまで任せられます。人が時間を使いたいのは、数字を書き写す作業ではなく、結果をもとに次の打ち手を考えることです。
私たちの場合、毎月11件の運用報告書にかかる時間は、代表である私の体感では約33時間から約11時間になりました。ただし、AIに仕事を丸投げしたのではなく、新人に教えるように手順と型を整えた結果です。
結論:数字を集めて形にするのは AI、次の打ち手を決めるのは人
AIレポート作成で最初に決めたいのは、AIと人の役割です。AIには数字を集め、同じ形にそろえ、気づきのたたき台を作るところまで任せます。
一方、「この結果を受けて来月は何をするか」は人が決めます。過去の打ち合わせや問い合わせの内容、クライアントごとの事情まで踏まえて判断する仕事だからです。
AIの役割を広げること自体が目的ではありません。定型的な作業をAIに渡し、人が考える時間を確保することが、毎月の報告を次の行動につなげるポイントです。
AI に任せる前に困っていた4つのこと
AIを使う前は、毎月の運用報告書づくりに時間がかかっていました。数字を一つずつ拾うため、拾い間違いや書き写しのミスも起きていました。
また、担当者によってまとめ方や見る数字がばらばらでした。同じ月の報告でも、比較しやすさに差が出ていたのです。
もう一つの課題は、数字を並べるだけで終わり、「次に何をするか」まで書けていなかったことです。報告書を作る作業に時間を取られ、結果を踏まえて考える時間が足りなくなっていました。
この4つは別々の問題に見えますが、毎月の進め方と完成形が決まっていなかった点でつながっています。AIを入れる前に仕事の流れを整理することが、改善の土台になりました。
いまの分担:AI が集めて形にし、人が確かめる
現在は、AIが下ごしらえをし、人が判断と確認を担っています。役割を分けることで、AIに任せる範囲と、人が責任を持つ範囲があいまいになりません。
| AI がやること | 人が確かめること |
|---|---|
| GA4(Googleのアクセス解析)やSearch Console(Google検索での表示数やクリック数)、問い合わせ、SNS、Googleマップなどの数字を集める | 集めた数字が正しいか |
| 数字を表やグラフにする | 「来月の一手」がクライアントの状況に合っているか |
| 数字から読み取れる気づきを文章にする | クライアントに合う言い回しになっているか |
人の確認も、一人だけでは終えません。最後は部門長が確かめ、代表である私が承認します。この二重のチェックについては、第1回の記事でもお伝えしました。
AIが作ったものをそのまま出さず、数字と提案の両方を人が見る。この分担があるからこそ、作業時間を減らしながら、報告書の中身を確かめられます。
数字が合っていても、来月の一手がクライアントの状況に合うとは限りません。また、提案の方向がよくても、根拠となる数字が違えば判断を誤ります。そのため、数字の正しさと提案の中身を分けずに確認しています。
うまくいかなかったこと:丸投げでは質が上がらない
はじめから思いどおりの結果が出たわけではありません。やりたいことをまとめて丸投げすると、気づきの文章がどの会社にも当てはまる内容になり、表やグラフの形もそろいませんでした。
原因は、AIに渡す仕事の設計が足りなかったことです。そこで、新人に仕事を教えるように、やることを順序立てて、一つずつ任せる形に直しました。
さらに、項目や並べ方を決めた型、つまりテンプレートを作りました。何をどの順番で、どの形にまとめるかを固定してから、出力が安定するようになったのです。
型があると、AIに任せるたびに完成形が変わるのを防ぎやすくなります。人が確認する場所もそろうため、担当者が変わっても、同じ観点で報告書を見られます。
AIへの指示を一度書けば終わりではありません。出てきたものを見て、足りない説明や判断基準を加えながら、仕事の教え方を整えていく必要があります。
数字で見ると
これは計測した作業時間ではなく、代表である私の体感の目安です。運用報告書は、以前は1社分に約3時間かかっていましたが、現在は約1時間になりました。
毎月11件で考えると、約33時間から約11時間です。空いた時間によって、これまでの打ち合わせや問い合わせの内容を振り返り、次の打ち手を考える時間が増えました。
時間を短くするだけでなく、報告の先にある行動へ時間を使えるようになったことが、私たちにとっての変化です。
あなたの会社に置き換えるなら:毎月の数字のまとめを「型」で回す
工務店でAIレポート作成を始めるなら、最初から多くの仕事を任せる必要はありません。まず、毎月何を見るのかを決め、その数字を同じ形で並べる仕事から始めます。
例えば、ホームページの訪問、問い合わせ、資料請求、見学会の予約、SNS、Googleマップなどです。ただし、見る項目は会社の集客方法によって変わるため、自社が次の行動を決めるために必要なものを選びます。
AIに任せる前に決めることは、「何の数字を」「どの期間と比べて」「どの形で並べるか」です。ここが決まっていないと、毎月違う項目が出たり、比べたい数字がそろわなかったりして、判断に使いにくくなります。
型を作る目的は、きれいな報告書を作ることではありません。同じ観点で変化を確かめ、次に何をするかを考えやすくすることです。集めても行動の判断に使わない数字があれば、載せる理由から見直します。
| 毎月見る数字 | AI に任せること | 人が決めること |
|---|---|---|
| ホームページの訪問 | 決めた期間の数字を集め、同じ形で並べる | どの変化に注目し、次に何を直すか |
| 問い合わせ・資料請求・見学会の予約 | 項目ごとに整理し、比較できる形にする | 内容も踏まえて、次の集客施策をどうするか |
| SNS・Googleマップ | 数字を表やグラフにし、気づきのたたき台を作る | 発信する内容や更新の進め方をどう変えるか |
進め方は、新人に毎月の集計を教える場面を想像すると整理しやすくなります。
一つずつ任せれば、数字を正しく集められるようになってから、文章づくりへ進めます。途中でずれが出ても、どの仕事の教え方を直せばよいかが分かりやすくなります。
1.毎月見る数字を決める
最初に、報告書へ載せる項目を決めます。思いつく数字を全部集めるのではなく、問い合わせや発信の見直しに使う数字を選ぶのが出発点です。
2.比べる期間と並べ方を決める
次に、どの期間と比べるのかを決めます。あわせて、項目の順番、表やグラフの形、気づきを書く位置までテンプレートにします。
3.数字を集めて並べる仕事から任せる
まずAIには、決めた数字を決めた場所へ入れる仕事を任せます。人が元の数字と見比べ、拾い間違いや書き写しのミスがないかを確かめます。
4.気づきのたたき台を作らせる
数字が正しく並ぶようになったら、変化から読み取れる気づきを文章にする仕事を加えます。どの会社にも当てはまる内容になっていないか、人が確認して具体的に直します。
5.人が「来月の一手」を決める
最後に、過去の打ち合わせや問い合わせの内容も踏まえ、来月の行動を決めます。AIの文章は判断材料の一つとして使い、誰が何を進めるのかは人が確定します。
この順番なら、どこで期待した結果とずれたのかを見つけやすくなります。数字の集め方に問題があるのか、型が足りないのか、気づきの書き方があいまいなのかを切り分けられるためです。
テンプレートは、一度作って終わりではありません。毎月使い、判断に不要な項目は見直し、次の行動に必要な項目があれば加えます。AIに仕事を教えながら、自社の報告の型も育てていくイメージです。
社長が毎月の集計を抱え込んでいる場合も、まずはこの型を作れば、AIや担当者へ渡す範囲を整理できます。人が担う判断まで手放さず、集める、並べる、気づきを書くという順番で任せるのが進めやすい形です。
まとめ
私の見立てでは、小さな工務店では、WEBサイトを作ったまま放置したり、SNSも数回の投稿で止まったりするケースが多く、更新が止まることのリスクは大きいです。WEBやSNSは発信の質だけでなく、更新の頻度も集客とかなりつながっていると見ています。
社長業が忙しく、更新まで抱え込んでいる会社は、集客もうまくいっていないことが多いと感じます。反対に、社長個人で発信を続けている会社や、兼業を含むマーケティング担当者に内容や頻度をある程度任せている会社は、うまくいっていることが多いというのが、私の実感です。
AIと型に数字のまとめを任せれば、社長や担当者が使える時間を増やせます。その時間を発信の継続と次の打ち手を考えることに回し、人が確認と判断を担う。この役割分担から始めてみてください。
次回は、打ち合わせのあとの「宿題」をAIに拾わせる方法を取り上げます。決まったことを行動へ移すために、AIと人をどう分担するかをお伝えします。
この記事を書いた人

sawan株式会社 代表取締役
二級建築士
斉藤 伸義
住宅業界で10年、設計事務所・地域の工務店・ハウスメーカーの3社で、設計・営業・施工管理・広報を経験。累計200組以上のお客様の家づくりに携わる。
その後、建築業界専門の IT 会社で WEB ディレクターとして、約100社の工務店・ハウスメーカーのサイト制作と運用を担当。2023年に sawan を創業し、建設・住宅業界に特化した WEB マーケティングを支援している。いまは社内の仕事を AI で回す仕組みを自分で作りながら、その実際をこのコラムで発信している。
この記事の下書きは Claude Code(AI)が書き、内容の確認と最終の判断は代表が行っています。